【第1話】リ・スタート

中学受験リアルストーリー

公開学力テスト成績発表

小学4年生から中学受験塾浜学園に通って、現在5年生。

10月某日。

浜学園に通っている我が子の公開学力テスト結果発表日。

浜学園では月に1回公開学力テストが実施されますが、今日はその結果発表日。

夫婦で浜学園のサイトにアクセスし、結果を確認すると、算数・国語ともに偏差値40台。

理科はなんとか偏差値50台をキープするも、3教科で過去最低。

国語に至っては、偏差値30台に近いくらい。

夏休み中、個物指導塾ハマックスに通って、そろそろ結果が出るかなと期待した親の思いは見事に打ち砕かれた。

試験後の子の様子

遡ること4日前、吾郎は、公開学力テストを終え、走って塾から出てきた。

迎えの車を見つけ、車内に乗り込むや「悪くなかったと思う」と親をも期待をさせる上機嫌さ。

夏休みに大金を払って、通わせた個別指導塾のハマックスの効果が出たか、親として期待せざるにはいられない。

夫婦会議

日曜日に公開学力テストを終え、結果は水曜日。

吾郎は、水曜日も塾に行っている。

塾に行く前、「先に見んといてや」と言いながら塾に入って行ったが、待ちきれず、夫婦で先に結果を見た。

スマホの画面を確認した瞬間、少し目を疑った。

改めて平均点や偏差値の見間違いがないか確認するも、見間違いはない。

これまでの最低偏差値。

夫婦で苦笑い。

落胆した。

吾郎がテスト後、「悪くない」という言葉をすべて鵜呑みにはしてたわけではないが、親としても予想以上に悪かった。

現在Sクラスだが、クラス落ちの可能性も十分にある成績。

頑張っていないわけではない。

何故????

なかなか現実を受け入れられなかった。

この成績を見た吾郎がショックを受けることか。

親として、吾郎の様子を想像すると、辛くなった。

とりあえず吾郎が気持ちを切らさないようにするには、どうすべきか、夫婦で話し合った。

「謝ろう。点数を取らしてあげられなくて。すまない」

と吾郎に伝えよう。

結果が悪かったのは子どもの責任ではない。

そして、この日は夫婦で、吾郎の塾の迎えに向かった。

吾郎の気持ちが少しでも和らげばと思い、夫婦で迎えに行くことにしたのだ。

吾郎が成績を確認した時。

吾郎は塾を終え、走って迎えの車に向かってきた。

吾郎は、テストの結果が良かったり、先生から褒められたりすると、走って迎えの車に向かってくる。

逆に成績が振るわなかった時は、歩いて車まで来る。

分かりやすい子だ。

今日は走って車に向かってきた。

意気揚々と車に乗り込み、授業毎に行われる復習テストの結果を聞いた。

吾郎は「はあ~」とため息をつき、あまりよくなかったと親に思わせてやろうとする吾郎のいたずら心が透けて見えるが、ここはその演技に乗ってやり「悪かった?」と聞いてみた。

「まあ、満点」と意地悪な顔で吾郎は言った。

少しでも気分を上げようと「すごいね~」とほめたたえた。

さて、復習テストは、良しとして、いつ公開テストの結果を伝えるか。

親は困っていた。

復習テストの結果が良く、嬉しそうにしているからだ。

この気持ちでずっといさせてやりたいが、いずれは分かることだ、と思い、2,3キロ走らせたところで、「吾郎、はい」と父親がスマホに公開学力テストの結果を表示させ、吾郎に見せた。

「え、悪!」

吾郎はしばらく、その画面を見つめていた。

「すまん、これはパパやママが悪い」と伝えたが、吾郎からの返事はない。

そして、吾郎の涙がほほを伝った。

無言でスマホを父親に返し、親に背を向け、帰りの車中、ずっと外を見ていた。

吾郎の鼻をすする音が聞こえた。

誰も何もしゃべらない。

重苦しい雰囲気の中、家に向かった車を走らせた。

そして家に着いた瞬間、吾郎は車から降り、猛ダッシュで家に入って行った。

結局、親に顔を一切見せず。

決意新たに

我が家は、塾から帰ればすぐにお風呂に入る。

落ち込んでいる吾郎も、塾から帰宅し、そそくさと服を脱いで、風呂に入ってい行った。

口数はいつもより明らかに少ない。

そして、涙をごまかすようにシャンプーを始め、ずっと目を閉じたまま、頭を洗っている。

シャンプーが終わり、お湯の中に入り、再度吾郎に謝った。

「ごめん。」

その言葉に吾郎は

「次偏差値70とか取ればいいんやろ」

と返してきた。

なんとか前向きな気持ちを維持することができたように思う。

この言葉に、親としても、次こそはという思いとなれた。

次の公開学力テストに向けてリ・スタートだ。

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