さかな

中学受験リアルストーリー

【第31話】願書提出 W出願

年末。願書を提出する。浜学園のお世話係さんと話合って決めた受験予定に沿って、願書を出す。今は、どの学校もインターネット出願だ。紙に手書きするわけでもなく、郵便局に行く必要もない。画面上で入力し、写真をアップロードし、支払いを済ませて「送信」ボタンを押す——それだけだ。私は何度も画面を確認した。緊張する。志望校名、試験日、受験会場、氏名、漢字の送り仮名、生年月日……。入力内容に間違いがないか、ひとつひとつ指でなぞるように読み返した。。吾郎の願書に使用する写真を2,3度撮り直し、いざ出願。——これで、いよいよ、始まるんだ。今年だけ、やたら低倍率になったら嬉しいなと祈りながら出願した。2025年1月18日から始まる受験。3日間の午前と午後、それぞれに出願した。ハードな三日間への下準備は整った。
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【第30話】中学受験まで 小学校 1月全休への道

12月の終わり。空はどんよりと曇り、冬の冷たい風が吹く。<br>私は重たい足取りで、小学校へ向かっていた。今日は個人懇談。毎年恒例の行事だが、今年は、ただ通知表の話を聞きに行くだけではない。担任の先生に、大切なことを伝えなければならない。「1月の受験が終わるまで、吾郎を学校に登校させずに塾に専念させたい」と。学校に行けば感染症のリスクがある。ここまで来たら体調万全で受験させたい。また最後の追い込み勉強を考えると、学校に行くより家で過ごすほうが効率的だ。だが、学校を休むということは、先生だけでなく友達にも受験することを知らせるようなものだ。これで…もし、受験がうまくいかなかったら?”吾郎がつらくなって追い込むことにならないか”そんな不安が、ずっと胸の奥に居座っている。しかし、小学3年の時から受験のために、勉強してきた。後悔だけはしたくなかった。吾郎が頑張ってきた日々を、信じよう。
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【第29話】最後の追い込み 正月特訓

年が明けるころ、街はお正月ムードに包まれていた。どの家にも門松が立ち、近所の子どもたちが晴れ着を着て神社へ向かう姿が見られた。しかし、吾郎のスケジュールには「正月休み」という文字はなかった。「1月が勝負や。ここからのひと伸びが、合格を左右する」12月最後の志望校別特訓でそう告げられてから、吾郎は決意していた。「お正月は塾に行く」と。浜学園の正月特訓は、元日から3日間。午前9時から夕方5時まで、志望校の傾向に特化した問題を解き続ける集中特訓だ。内容は過去問のアレンジや、合格者の得点帯を狙う応用問題が中心で、いわば最後の総仕上げに向けた戦場のような空気だった。<!-- wp:paragraph --><p>元日の朝。</p><!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph --><p>ふつうなら、家族でおせちを囲む時間帯に、吾郎は母の握ってくれたおにぎりをリュックに詰め、まだ薄暗い道を駅へと向かっていた。</p><!-- /wp:paragraph -->
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【第28話】過去問やれど手応え掴めず

夏の終わりが近づくころ、浜学園に通う小6の吾郎は、第一志望校の過去問演習に本格的に取り組み始めた。”過去問10年分を最低3周はやる”と吾郎と決めた。浜学年から東大理Ⅲに子ども全員を合格させた〇〇ママのの影響だ。まずは一周目。「1回目は時間を測ってやってみよう」時計をスタートさせ、算数の問題に取りかかる、がやはり思うように解法が思い浮かばない。
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【第27話】第二志望校 判定模試(浜学園)

模試の朝11月半ばの日曜日。<br>少し冷え込んだ朝だったけれど、吾郎はいつも通りの明るいテンションで起きてきた。「おはよー。今日、ええ天気やな。」そんなふうに言いながら、食卓の椅子に座ると、いつもどおりだらだらご飯を食べ始めた。「模試か~。」彼は口の端をきゅっと上げて笑った。この時点で、本人を含め誰もが、合格判定を受けれると思っていない。何故なら、7冠特訓で、まだ一冠しか合格したことがないし、公開学力テストでも偏差値が全く足りていない。しかもVからSクラスに落ちたところだ。クラスに落ちに加えて、不合格だった時のことを考えると、吾郎の気持ちが耐えられるのか親としては心配だった。不合格判定が出ることを前提に、塾までの車の中で「まあ今日は練習だから。まだ入試まで日があるし」と言いながら、精神的ダメージを和らげるように声掛けする。そして塾前に着き「いってきます。」と吾郎が闘いの場へ向かった。合格判定模試は午前中に試験があり、午後から問題の解説。帰る時に結果が伝えられる。。
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【第26話】VクラスからSクラスへ転落

「……ああ、やっぱりな。」9月下旬、塾から帰ってきた吾郎は、車の中でこうつぶやいた。VクラスからSクラスへの降格が決まった日だった。その顔に悔しさはあったけれど、どこかホッとしたような、肩の力が抜けたような表情にも見えた。無理もない。二月の新学年開講から、ずっと必死に耐えていたのだ。Vクラスの授業は、想像以上に苛烈だった。先生の話すスピード、扱う問題の難度、容赦ないテストの結果管理――一度遅れれば、次の瞬間には置いていかれる。吾郎にとって、それは毎日が綱渡りのようだった。特に算数が致命的だった。文章題も図形問題も、解説が速すぎて授業中に理解しきれない。
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【25話】お世話係さんとの面談 受験校決定

吾郎、受験校決定のための話し合い10月上旬、徐々に秋が深まり寒くなってきた。塾の面談室で、私たちは世話係さんと面談を行った。これまで、家庭では受験校について何度も話し合いを重ねてきた。最難関の第一希望の中学に挑戦するという気持ちは変わっておらず、第二希望校も受験したい旨をお世話係さんに伝えていた。そしてこの日──お世話係さんと「受験校をどうするか」を決める。
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【第24話】第二希望校の変更

吾郎は、夏休みが終わるころまで偏差値56の最難関を第2希望としていた。それは、最難関中学の一角でありながら、現在の吾郎の実力からすれば、合格が十分狙える偏差値帯だったからだ。浜学園も吾郎の実力でいえば十分、この中学校の合格は狙えるだろうと思っていただろう。だから、なんとなく、ずっと同校のプレ入試や、入試特訓を受講してきた。しかし、ここである日、ふと、”本当にこの学校を受験する方向で突き進んでいいのだろうか”と疑問が湧いたのだ。夫婦で「R校っていい学校だけど、通学しづらいない?」という思いをなんとなく抱いていて、通学が遠いからできれば通学させたくはないと夫婦ともども思っていた。
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【第23話】中学受験 3科から4科?

吾郎が切望する第一志望校は、3科(国語・算数・理科)でも4科(国語・算数・理科・社会)でも受験することができる。吾郎は、新4年生から浜学園に通っているが、最初の2か月ほど社会を受講していた。しかし、「社会がつまらない、3科の方がいい」と言いだしたので社会を断念。この時の吾郎は友達と毎日のように遊んでおり、社会を始めると友達と遊べないと思ったことが大きな要因と一つと今でも思っているが、私としてもそれでいいと思いっており、先のことを考えず、社会を辞めた。夏休みも中盤が過ぎ、受験まで残り半年を切ったころ、ある思いがふつふつと湧いてきた。社会をやるべきだった。吾郎の第一希望とする学校を合格するには、まだまだ偏差値が足りない。それに加えて夏ころから、成績を落としていた。なんとかならないかとボーっと考えている時、ふと小学校の社会の100点のテストが目に入ってきた。
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【第22話】浜学園 7冠特訓に挑戦

7月下旬。浜学園恒例の7冠特訓に挑みに行った。7月下旬。浜学園恒例の7冠特訓に挑みに行った。7冠特訓とは、関西の最難関中学として挙げられる「灘中学」「東大寺学園中学」「洛南中学」「西大和学園中学」「甲陽学院中学」「大阪星光学院中学」「洛星中学」の7校に関して、各校の配点基準に合わせ、どの学校が合格できるかを判定する、模試である。この中に吾郎が目指す学校がある。夏期講習で忙しい中7冠特訓へ挑む。