【第35話】いよいよ第一志望校 中学受最後の挑戦 

中学受験リアルストーリー

受験三日目の朝

朝5時過ぎに目が覚めた。

昨日の吾郎の姿が、まだ目に焼きついて離れない。

後部座席で泣くのをこらえながら外を見ていた吾郎。

あんなに悔しそうに泣いたのは、初めてだった。

今日が、最後の受験。

最難関校——これまで一度も合格判定を取ったことのない第一志望校への挑戦だ。

過去問も10年分3回解いた。

学校見学にも来た。

ここまで、この学校に入学するためにやってきたのだ。

浜学園で過ごした4年5年時はHクラスとSクラス。

その時は、この学校を受けて合格するチャンスがあるところまで成績を吾郎が上げてくるとは想像だにしていなかった。

そんなことを思いながら、吾郎が起きてきた。

「おはよう」

「……おはよう」

表情はいつもどおり。

昨日の涙から、立ち直ったように感じる。

朝食を食べながら、「まあ、一つ受かってるし。」(安全校)というポジティブ発言。

最後の会場へ向かう車内

出発の支度を済ませ、今日も父が運転する車で試験会場へ向かう。

後部座席で、兄が隣に座ってくれた。

昨日の夜も、兄は吾郎のそばに寄り添って、たくさん話を聞いてくれていた。
兄弟って、本当にいいものだと改めて思う。

車の中では、吾郎が静かに問題集をパラパラとめくりながら、兄と談笑している。

ここまできたら、勉強しろという意味もないと思う。

リラックスしていることがうれしかった。

昨日の落ち込みを引きずっていないことが伝わってくる。

試験会場近くで、父が言った「もう悔いの残らんように、最後まであきらめず、思いっきりやってこい」

「うん。」

車で待機する、父と兄と別れ、私と吾郎は、試験会場の学校へと向かった。

長い坂をひたすら歩く。たくさんの受験生とその保護者。

みんなえらい。この坂を登る、小さな子どもたちはみんな、ここまで死ぬ気で勉強を頑張ってきたんだと思うと、うるうるしてくる。

そしてうちの子もまた、その一人だと思うと、とても誇らしかった。

歩いている最中、吾郎はとても機嫌がよく、好きな話をずっとしていて、楽しそうだった。

もうこれで終わりなんだとちゃんとわかっているようだった。

最後の挑戦

会場へ着くとすごい熱気だ。

まだ始まってもないのに感極まってか泣いている子すらいる。

これまでの試験などから思うことがあるのだろう。

一人一人にドラマがあるはずだ。

会場である学校のグラウンドでは、浜学園の職員さんがミニ講義をしていた。

吾郎もミニ講義を受ける。

ミニ講義を終え全員が一列になって、試験会場に向かう。保護者は花道を作った。私は、吾郎に「頑張れ」と声を掛けた。

吾郎はにこりと微笑んで、校舎内に入って行った。

この学校の対策を一番やってきた我が家。

なんとか合格させてくれと神様に祈り続けた。

試験終了後

数時間後。

試験を終えた吾郎が会場から出てきた。

すぐに見つけ、手を振った。

顔をのぞき込むと、昨日のような沈んだ様子はなかった。

「どうだった?」

「うん、漢字めっちゃ書けた。算数はまあまあかな。」

足早に父と兄が待つ車へと向かった。

車内に乗り込む吾郎。

兄と父から「おつかれ」と言われ、吾郎は「終わったー」と叫んだ。

帰りの道中で、吾郎は「こんな問題が出た、あんな問題が出た」と嬉しそうに話す。

これまでの試験でそういった話は一切してこなかったので、”これは、もしかしたら”と期待した。

吾郎の声には確かな達成感と、やり切ったという満足が感じられた。

私は、ほっとした。

受かるかどうかは分からない。

でも、やれることは全部やった。自分で納得して、最後まで挑んだ。

それだけで、もう十分だと思えた。

これで我が家の中学受験は終わった。

後は天に祈りながら合格発表を待つのみとなった。

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