【第21話】先生に聞く勇気

中学受験リアルストーリー

夏期講習で得たもの

夏休み初日からスタートした夏期講習。

夏休み前に、分刻みの予定を組む。

浜学園にも自身がやるべき勉強予定表を提出。

その中に当然遊びはない。

午前10時ころから浜学園に入り自習。

お昼を挟んで午後4時ころまで授業。

その後、通常授業が始まる(午後5時の時もあれば午後7時のときもある)まで自習し、夜、通常授業を受ける。

週末には、特訓やテストを受けに遠出をし、勉強。

このようなことが毎日、毎週繰り返された。

夏休みの時間を無駄にしないよう、親としても日々進捗状況を確認する。

そして翌日すべき勉強も用意しておく。

準備をするのも時間の節約するためだ。

吾郎は家に帰り、浜学園の宿題をするが「難しい」「分からん」を連発。

なかなか思うように、はかどらない。

けれどもすぐに翌日の勉強がやってくる。

勉強の波が次から次へと押し寄せてくるようだ。

ただ、分からないものを放っておくわけにもいかない。

吾郎はこれまで、先生に解き方を聞きに行ったことがない。

お世話係の方にも「質問に行くように」と言われていたが、なかなか一歩を踏み出せない状況だった。

「先生に質問に行きなさい」と私が言っても「先生がおらんかった」「時間がなかった」「人がめっちゃいて無理だった」と何かと理由をつけていかなかった。

それが、周りから分からないことをばかにされたくない恥ずかしさなのか、先生に苦手意識があるのか、はたまた家に早く帰りたいからなのか、原因は分からない。

吾郎からの話を聞くと、多くの子は先生のところに質問に行っているとか。

”じゃあ何故君は行かない?”

ひとつのきっかけで

そんなある日、「今日、質問に行ってきた」とうれしそうに車の中で話してきた。

先生が書いてくれた解き方のプリントを見せながら、うれしそうに私に解き方を説明をする。

私が聞いたところで分かるわけないが、吾郎に分からないと伝えると「なんで分からんねん」とうれしそうに言った。

そこから算数については、毎日のように質問に行くようになった。

また、吾郎と仲の良い友達も質問に行っているようで、その説明を一緒に聞いているとのこと。

なんだか親としてはうれしくなった。

質問に行くようになった大きな理由は、算数の先生が好きだったことが大きい。

吾郎は、ここからいつもうれしそうに算数の先生から習ったことを話し、友達と教えてもらったことを話してくれた。

これをきっかけにして、一つの約束をした。

塾から帰ってきたら、先生に教えてもらった問題をもう一度解き直すという約束だ。

そしてここから、算数だけではなく、理科や国語も質問に行けるようになった。

吾郎は先生に質問に行くたびに、「今日質問に行った」と教えてくれる。

吾郎の第一希望の中学に合格したいという思いが、こういった行動を起こさせたのだと思う。

この夏、吾郎は算数だけじゃなく、「質問する勇気」を手に入れたのだった。

こうして、怒涛の夏期講習が終了していくのであった。

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