中学受験リアルストーリー

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【第29話】最後の追い込み 正月特訓

<!-- wp:paragraph --><p>年が明けるころ、街はお正月ムードに包まれていた。どの家にも門松が立ち、近所の子どもたちが晴れ着を着て神社へ向かう姿が見られた。</p><!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph --><p>しかし、吾郎のスケジュールには「正月休み」という文字はなかった。</p><!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph --><p>「1月が勝負や。ここからのひと伸びが、合格を左右する」</p><!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph --><p>12月最後の志望校別特訓でそう告げられてから、吾郎は決意していた。「お正月は塾に行く」と。</p><!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph --><p>浜学園の正月特訓は、元日から3日間。午前9時から夕方5時まで、志望校の傾向に特化した問題を解き続ける集中特訓だ。内容は過去問のアレンジや、合格者の得点帯を狙う応用問題が中心で、いわば最後の総仕上げに向けた戦場のような空気だった。</p><!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph --><p>元日の朝。</p><!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph --><p>ふつうなら、家族でおせちを囲む時間帯に、吾郎は母の握ってくれたおにぎりをリュックに詰め、まだ薄暗い道を駅へと向かっていた。</p><!-- /wp:paragraph -->
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【第28話】過去問やれど手応え掴めず

夏の終わりが近づくころ、浜学園に通う小6の吾郎は、第一志望校の過去問演習に本格的に取り組み始めた。”過去問10年分を最低3周はやる”と吾郎と決めた。浜学年から東大理Ⅲに子ども全員を合格させた〇〇ママのの影響だ。まずは一周目。「1回目は時間を測ってやってみよう」時計をスタートさせ、算数の問題に取りかかる、がやはり思うように解法が思い浮かばない。
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【第27話】第二志望校 判定模試(浜学園)

模試の朝11月半ばの日曜日。<br>少し冷え込んだ朝だったけれど、吾郎はいつも通りの明るいテンションで起きてきた。「おはよー。今日、ええ天気やな。」そんなふうに言いながら、食卓の椅子に座ると、いつもどおりだらだらご飯を食べ始めた。「模試か~。」彼は口の端をきゅっと上げて笑った。この時点で、本人を含め誰もが、合格判定を受けれると思っていない。何故なら、7冠特訓で、まだ一冠しか合格したことがないし、公開学力テストでも偏差値が全く足りていない。しかもVからSクラスに落ちたところだ。クラスに落ちに加えて、不合格だった時のことを考えると、吾郎の気持ちが耐えられるのか親としては心配だった。不合格判定が出ることを前提に、塾までの車の中で「まあ今日は練習だから。まだ入試まで日があるし」と言いながら、精神的ダメージを和らげるように声掛けする。そして塾前に着き「いってきます。」と吾郎が闘いの場へ向かった。合格判定模試は午前中に試験があり、午後から問題の解説。帰る時に結果が伝えられる。。
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【第26話】VクラスからSクラスへ転落

「……ああ、やっぱりな。」9月下旬、塾から帰ってきた吾郎は、車の中でこうつぶやいた。VクラスからSクラスへの降格が決まった日だった。その顔に悔しさはあったけれど、どこかホッとしたような、肩の力が抜けたような表情にも見えた。無理もない。二月の新学年開講から、ずっと必死に耐えていたのだ。Vクラスの授業は、想像以上に苛烈だった。先生の話すスピード、扱う問題の難度、容赦ないテストの結果管理――一度遅れれば、次の瞬間には置いていかれる。吾郎にとって、それは毎日が綱渡りのようだった。特に算数が致命的だった。文章題も図形問題も、解説が速すぎて授業中に理解しきれない。
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【25話】お世話係さんとの面談 受験校決定

吾郎、受験校決定のための話し合い10月上旬、徐々に秋が深まり寒くなってきた。塾の面談室で、私たちは世話係さんと面談を行った。これまで、家庭では受験校について何度も話し合いを重ねてきた。最難関の第一希望の中学に挑戦するという気持ちは変わっておらず、第二希望校も受験したい旨をお世話係さんに伝えていた。そしてこの日──お世話係さんと「受験校をどうするか」を決める。
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【第24話】第二希望校の変更

吾郎は、夏休みが終わるころまで偏差値56の最難関を第2希望としていた。それは、最難関中学の一角でありながら、現在の吾郎の実力からすれば、合格が十分狙える偏差値帯だったからだ。浜学園も吾郎の実力でいえば十分、この中学校の合格は狙えるだろうと思っていただろう。だから、なんとなく、ずっと同校のプレ入試や、入試特訓を受講してきた。しかし、ここである日、ふと、”本当にこの学校を受験する方向で突き進んでいいのだろうか”と疑問が湧いたのだ。夫婦で「R校っていい学校だけど、通学しづらいない?」という思いをなんとなく抱いていて、通学が遠いからできれば通学させたくはないと夫婦ともども思っていた。
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【第23話】中学受験 3科から4科?

吾郎が切望する第一志望校は、3科(国語・算数・理科)でも4科(国語・算数・理科・社会)でも受験することができる。吾郎は、新4年生から浜学園に通っているが、最初の2か月ほど社会を受講していた。しかし、「社会がつまらない、3科の方がいい」と言いだしたので社会を断念。この時の吾郎は友達と毎日のように遊んでおり、社会を始めると友達と遊べないと思ったことが大きな要因と一つと今でも思っているが、私としてもそれでいいと思いっており、先のことを考えず、社会を辞めた。夏休みも中盤が過ぎ、受験まで残り半年を切ったころ、ある思いがふつふつと湧いてきた。社会をやるべきだった。吾郎の第一希望とする学校を合格するには、まだまだ偏差値が足りない。それに加えて夏ころから、成績を落としていた。なんとかならないかとボーっと考えている時、ふと小学校の社会の100点のテストが目に入ってきた。
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【第22話】浜学園 7冠特訓に挑戦

7月下旬。浜学園恒例の7冠特訓に挑みに行った。7月下旬。浜学園恒例の7冠特訓に挑みに行った。7冠特訓とは、関西の最難関中学として挙げられる「灘中学」「東大寺学園中学」「洛南中学」「西大和学園中学」「甲陽学院中学」「大阪星光学院中学」「洛星中学」の7校に関して、各校の配点基準に合わせ、どの学校が合格できるかを判定する、模試である。この中に吾郎が目指す学校がある。夏期講習で忙しい中7冠特訓へ挑む。
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【第21話】先生に聞く勇気

夏休み初日からスタートした夏期講習。夏休み前に、分刻みの予定を組む。浜学園にも自身がやるべき勉強予定表を提出。その中に当然遊びはない。午前10時ころから浜学園に入り自習。お昼を挟み午後4時ころまで授業。の後、通常授業が始まる(午後5時の時もあれば午後7時のときもある)まで自習し、夜、通常授業を受ける。週末には、特訓やテストを受けに遠出をし、勉強。このようなことが毎日、毎週繰り返された。夏休みの時間を無駄にしないよう、親としても日々進捗状況を確認する。そして翌日すべき勉強も用意しておく。
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【第20話】浜学園 夏期講習と日曜志望校別特訓(Mコースの資格取得に向けて)

夏休みが始まる前のある日。塾から帰ってきた吾郎のリュックの中から、一枚のプリントが出てきた。それは、夏期講習の案内だった。吾郎が目指すのは、最難関中学。そのためには、夏期講習でも上位クラスにいなければならないと考えていた。浜学園の夏期講習には「Mコース」という、最難関中学を狙うための講座がある。最難関校を目指す吾郎にとって、この講座の受講は必要不可欠だった。この講座を受講するには、偏差値56が必要。6月・7月の公開学力テスト、または6月の合否判定テストの結果で基準を満たさなければならない。親としても、吾郎が目指す中学に合格するためにはMコースが必須だと考えていた。<br>しかし、吾郎の心の奥底には、少し違う思いがあったようだ。吾郎は6年生になってからVクラスに在籍している。<br>クラスの大半の生徒は、当然のようにMコースを受講するだろう。