中学受験リアルストーリー

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【第35話】いよいよ第一志望校 中学受最後の挑戦 

朝5時過ぎに目が覚めた。昨日の吾郎の姿が、まだ目に焼きついて離れない。後部座席で泣くのをこらえながら外を見ていた吾郎。あんなに悔しそうに泣いたのは、初めてだった。今日が、最後の受験。最難関校——これまで一度も合格判定を取ったことのない第一志望校への挑戦だ。過去問も10年分3回解いた。学校見学にも来た。ここまで、この学校に入学するためにやってきたのだ。浜学園で過ごした4年5年時はHクラスとSクラス。その時は、この学校を受けて合格するチャンスがあるところまで成績を吾郎が上げてくるとは想像だにしていなかった。そんなことを思いながら、吾郎が起きてきた。「おはよう」「……おはよう」表情はいつもどおり。昨日の涙から、立ち直ったように感じる。朝食を食べながら、「まあ、一つ受かってるし。」(安全校)というポジティブ発言。
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【第34話】 受験2日目 受験校変更を朝伝える

受験日二日目。吾郎は安全校を受けると思い寝ているが、明日は最難関校をチャレンジすることに親が勝手に決めた。吾郎は、それを朝知ることになる。いつもどおり、私は朝早く目が覚めた。”吾郎は寝れたのだろうか。。。” 心配になる。昨日夫婦で話し合い、挑戦することにした我が家。私が起きてからほどなくして起きてきた夫が吾郎を起こしに行く。リビングに来て、ご飯を食べている吾郎に夫が言う。「吾郎・・・・・、〇〇校を受けてみようや」吾郎「え??受けれんの?」と聞いてきた。夫「まあ、一応今回受ける予定の学校と、〇〇校、どっちとも願書出してて」と伝えると「おーーー。テンション上がってきたー」
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【第33話】いよいよ迎えた受験本番(初日)

1月中旬。いよいよこの日を迎えた。受験日の朝、私と夫は自然に目を覚ました。いよいよこの日が来たと、朝からお互い落ち着かない。午前中に最難関校を受け、終われば車内で昼食を食べながら移動。午後からの安全校に挑むというハードなスケジュール。多くの受験する小学6年生がやっていることだが、すごいことだと思い、胸の中がじんわりと熱くなった。初日で合格を得ておきたいと夫婦で話していた。合否判定模試では、合格と不合格が五分五分。初日に何としても合格を勝ち取れば、勢いに乗っていけると思っていた。
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【第32話】浜学園で受ける前受校

年の瀬が迫るころ、街はすでにお正月の準備で慌ただしかった。そんな中、我が家ではいつもと少し違う緊張感が漂っていた。それは、吾郎が人生で初めて受ける入試の日が、いよいよ目前に迫っていたからだった。浜学園のお世話係さんから「必ず前受校を受けるように」と言われ、その学校もアドバイスを貰って決めた。東海地方に本校がある私立中学の「前受け校」。本命に向けての“練習”として吾郎が挑む初めての入試だ。ただ、普通の前受けとは少し違っていた。——試験会場が、吾郎が普段通っている浜学園の教室<だったのだ。
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【第31話】願書提出 W出願

年末。願書を提出する。浜学園のお世話係さんと話合って決めた受験予定に沿って、願書を出す。今は、どの学校もインターネット出願だ。紙に手書きするわけでもなく、郵便局に行く必要もない。画面上で入力し、写真をアップロードし、支払いを済ませて「送信」ボタンを押す——それだけだ。私は何度も画面を確認した。緊張する。志望校名、試験日、受験会場、氏名、漢字の送り仮名、生年月日……。入力内容に間違いがないか、ひとつひとつ指でなぞるように読み返した。。吾郎の願書に使用する写真を2,3度撮り直し、いざ出願。——これで、いよいよ、始まるんだ。今年だけ、やたら低倍率になったら嬉しいなと祈りながら出願した。2025年1月18日から始まる受験。3日間の午前と午後、それぞれに出願した。ハードな三日間への下準備は整った。
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【第30話】中学受験まで 小学校 1月全休への道

12月の終わり。空はどんよりと曇り、冬の冷たい風が吹く。<br>私は重たい足取りで、小学校へ向かっていた。今日は個人懇談。毎年恒例の行事だが、今年は、ただ通知表の話を聞きに行くだけではない。担任の先生に、大切なことを伝えなければならない。「1月の受験が終わるまで、吾郎を学校に登校させずに塾に専念させたい」と。学校に行けば感染症のリスクがある。ここまで来たら体調万全で受験させたい。また最後の追い込み勉強を考えると、学校に行くより家で過ごすほうが効率的だ。だが、学校を休むということは、先生だけでなく友達にも受験することを知らせるようなものだ。これで…もし、受験がうまくいかなかったら?”吾郎がつらくなって追い込むことにならないか”そんな不安が、ずっと胸の奥に居座っている。しかし、小学3年の時から受験のために、勉強してきた。後悔だけはしたくなかった。吾郎が頑張ってきた日々を、信じよう。
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【第29話】最後の追い込み 正月特訓

年が明けるころ、街はお正月ムードに包まれていた。どの家にも門松が立ち、近所の子どもたちが晴れ着を着て神社へ向かう姿が見られた。しかし、吾郎のスケジュールには「正月休み」という文字はなかった。「1月が勝負や。ここからのひと伸びが、合格を左右する」12月最後の志望校別特訓でそう告げられてから、吾郎は決意していた。「お正月は塾に行く」と。浜学園の正月特訓は、元日から3日間。午前9時から夕方5時まで、志望校の傾向に特化した問題を解き続ける集中特訓だ。内容は過去問のアレンジや、合格者の得点帯を狙う応用問題が中心で、いわば最後の総仕上げに向けた戦場のような空気だった。<!-- wp:paragraph --><p>元日の朝。</p><!-- /wp:paragraph --><!-- wp:paragraph --><p>ふつうなら、家族でおせちを囲む時間帯に、吾郎は母の握ってくれたおにぎりをリュックに詰め、まだ薄暗い道を駅へと向かっていた。</p><!-- /wp:paragraph -->
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【第28話】過去問やれど手応え掴めず

夏の終わりが近づくころ、浜学園に通う小6の吾郎は、第一志望校の過去問演習に本格的に取り組み始めた。”過去問10年分を最低3周はやる”と吾郎と決めた。浜学年から東大理Ⅲに子ども全員を合格させた〇〇ママのの影響だ。まずは一周目。「1回目は時間を測ってやってみよう」時計をスタートさせ、算数の問題に取りかかる、がやはり思うように解法が思い浮かばない。
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【第27話】第二志望校 判定模試(浜学園)

模試の朝11月半ばの日曜日。<br>少し冷え込んだ朝だったけれど、吾郎はいつも通りの明るいテンションで起きてきた。「おはよー。今日、ええ天気やな。」そんなふうに言いながら、食卓の椅子に座ると、いつもどおりだらだらご飯を食べ始めた。「模試か~。」彼は口の端をきゅっと上げて笑った。この時点で、本人を含め誰もが、合格判定を受けれると思っていない。何故なら、7冠特訓で、まだ一冠しか合格したことがないし、公開学力テストでも偏差値が全く足りていない。しかもVからSクラスに落ちたところだ。クラスに落ちに加えて、不合格だった時のことを考えると、吾郎の気持ちが耐えられるのか親としては心配だった。不合格判定が出ることを前提に、塾までの車の中で「まあ今日は練習だから。まだ入試まで日があるし」と言いながら、精神的ダメージを和らげるように声掛けする。そして塾前に着き「いってきます。」と吾郎が闘いの場へ向かった。合格判定模試は午前中に試験があり、午後から問題の解説。帰る時に結果が伝えられる。。
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【第26話】VクラスからSクラスへ転落

「……ああ、やっぱりな。」9月下旬、塾から帰ってきた吾郎は、車の中でこうつぶやいた。VクラスからSクラスへの降格が決まった日だった。その顔に悔しさはあったけれど、どこかホッとしたような、肩の力が抜けたような表情にも見えた。無理もない。二月の新学年開講から、ずっと必死に耐えていたのだ。Vクラスの授業は、想像以上に苛烈だった。先生の話すスピード、扱う問題の難度、容赦ないテストの結果管理――一度遅れれば、次の瞬間には置いていかれる。吾郎にとって、それは毎日が綱渡りのようだった。特に算数が致命的だった。文章題も図形問題も、解説が速すぎて授業中に理解しきれない。