
【第35話】いよいよ第一志望校 中学受最後の挑戦
朝5時過ぎに目が覚めた。昨日の吾郎の姿が、まだ目に焼きついて離れない。後部座席で泣くのをこらえながら外を見ていた吾郎。あんなに悔しそうに泣いたのは、初めてだった。今日が、最後の受験。最難関校——これまで一度も合格判定を取ったことのない第一志望校への挑戦だ。過去問も10年分3回解いた。学校見学にも来た。ここまで、この学校に入学するためにやってきたのだ。浜学園で過ごした4年5年時はHクラスとSクラス。その時は、この学校を受けて合格するチャンスがあるところまで成績を吾郎が上げてくるとは想像だにしていなかった。そんなことを思いながら、吾郎が起きてきた。「おはよう」「……おはよう」表情はいつもどおり。昨日の涙から、立ち直ったように感じる。朝食を食べながら、「まあ、一つ受かってるし。」(安全校)というポジティブ発言。